前回は、腕の長さの調整について解説しました。今回は、腕の太さについて解説していきます。作りたいモデルの体型については人それぞれです。ですが、腕や足の曲線が無いと細身のモデルの場合は不健康に、標準体型のモデルでも適度なくびれが無いと野暮ったく見えてしまうこともあります。今回は綺麗に見える腕の曲線の作り方について紹介していきますので、参考にしてください。
太さのメリハリの基準は筋肉と骨
腕や足の太さにメリハリをつけたほうがいいということはわかっていても、どこを太くしてどこを細くするか法則がわかっていないと難しいものです。これは、筋肉と骨の作りを見ることで法則が見えてきます。人間には、大小合わせて600種類の筋肉と200種類の骨から形成されています。すべてを再現するのは無理ですが、面積の大きい筋肉と腕や足を形作る骨を簡略化して表現することでメリハリのきいた体を作ることができます。
細かく作っていくときりがないのですが、今回は簡単に表現できる腕周りの筋肉を紹介します。
上腕の筋肉と骨
上腕は、1本の太い上腕骨があり、大きな筋肉として上腕二頭筋と上腕三頭筋があります。力こぶを作るようなポーズをした時に上に位置するのが上腕二頭筋、下側に位置するのが上腕三頭筋です。手のひらを下に向け、肘の内側を正面に向けたポーズの場合は、正面側に上腕二頭筋、背面側に上腕三頭筋がきます。
一見難しいように見えますが、上腕二頭筋と上腕三頭筋は骨を挟んで対に配置されているため、上腕の断面はほぼ円形と考えていいです。ワイヤーメッシュ表示で確認し、形が崩れているようであれば上腕の形を作っている頂点を選択し、Sift+Alt+Sで円形に変形させましょう。辺選択モードにすると、上腕の部分が一気に調整できて簡単です。太さは、肘に近い方が少し細くなり、肘に向かって徐々に細くなるように太さを調整します。
肘の筋肉と骨
肘には、外から形がわかるような大きな筋肉はありません。体型に関わらず脂肪もつきにくい部位ですので、上腕に比べて細い円形で作成します。断面の形はこれでいいのですが、肘の外側の部分が角ばって見えてしまう場合があります。その時は、肘の外側の頂点を複数選択して、スムージングを行います。
頂点を選択した状態で、3Dビュー上部の頂点メニューから頂点をスムーズにを選択すると、選択した頂点の角がとれて丸みをおびてくれます。
細かい部分になりますが、肘の頂点は上方見た時に肘の外側に合わせると綺麗に見えます。
前腕の筋肉と骨①
前腕は、前腕筋群という20近い数の筋肉が複雑に絡み合っています。骨は尺骨と橈骨という2本のやや太い骨が並列にならんで配置されており、上腕や肘のように円形ではありません。また、前腕筋群の中でも大きい腕橈骨筋が膨らんで見えるので、肘から前腕にかけてのラインは腕のなかで一番メリハリがきいている部分になります。
この筋肉のふくらみは、肘の頂点から隣とさらに隣の頂点をやや縦長の楕円形に変形することで表現できます。太さは、肘に近い方が一回り太くなります。
腕橈骨筋は本来親指の付け根に向かって伸びているので、手のひらを下に向けたポーズでは筋肉がひねるような形になっています。ですが、今回のモデルはとりあえず動くことを目標としていますので、簡略化して表現させます。
前腕の筋肉と骨②
前腕の中でも手首に近い部分は、尺骨と橈骨が並んで配置されており、かつ関節に近づくにつれて筋肉も薄くなっていくため、骨の形状がかなり見た目に影響してきます。このあたりは、形を横長の楕円形にすることで表現できます。テンキー7で上からの視点にしたときにも、このあたりは一番細い(Y軸が狭い)部分になります。
また、手首のところにループカットで辺を1本挿入し、Ctrl+テンキー1で背面からの視点に変え、辺選択モードで小指側の手首の面を4つ選択し、Eキーで押し出しを押すことで、尺骨の先端(小指下の骨のでっぱり)を表現できます。
尺骨の先端の突起を表現するととてもリアリティが増します。しかし、この突起は常に表れているわけではありません。手首を内側にひねる動作をすると、尺骨と橈骨が平行になり、突起が表面にでなくなります。ポーズをとらせたときに違和感を覚える可能性もあるので、迷った場合はここの突起は作らないほうがいいです。
シェーディングを変えて陰影をチェック
一通りの調整が終わったら、うまくできているかチェックをします。3Dビュー画面右上のシェーディングをMatCapに変更し、シェーディングを光沢のあるものに切り替えると、つけた凹凸によるトポロジーの変化や陰影がわかりやすくなります。最終的に体が全部出来上がってからもう一度チェックするので、今の時点で違和感が無ければ次の作業にうつります。
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